現代人は思考し続けていて、脳に疲労が溜まりやすい

インターネットが急速に広がり、スマートフォンを子どもが持つようになった現代では、人々はさまざまな情報に触れる機会が多くなっています。
日々新しいことを知る中で、情報を整理し記憶として定着させることにはエネルギーを使います。
特に、今の世の中では新しい情報が生まれるスピードが速くなり、こないだまで最新だった情報が古くなることが以前と比べて速くなりすぎています。
こんな情報があっという間に駆け巡る世の中で生きることは人間には辛い状況で、特に効率化を求められている社会人や学生にはとても大変なことです。
そんな中で、目まぐるしく入ってくる情報からいったん離れ、今この瞬間を生きる自分と向き合う時間を作ることがメンタル面では重要になります。
1つのことに意識を向ける

今この瞬間を生きる自分と向き合うとはどういうことかというと、自分が感じる五感に目を向けることです。
自分が感じる香り、味、音、感覚など、これら感覚という情報にだけ目を向ければいいのです。
ではどのようなことに目を向ければいいのか、よく使われている3つの感覚を挙げます。
- 【おすすめ】呼吸(息を吐いて、吸う)
- 景色
- 目の前の作業
上の3つの感覚以外にもご自身で見つけられる感覚があれば取り組んでみてもいいのですが、やはりおすすめは呼吸に意識を向けることです。
【おすすめ】呼吸に意識を向ける
「呼吸に意識を向ける」とは、何も考えず呼吸していることだけに集中することを言います。
ただ「吸って」「吐いて」を繰り返し、その時の自分をよく観察する。
何か考えが浮かんでも呼吸に意識を戻すことを繰り返すだけです。
文字で読んでいると簡単なように感じますが、実際にやってみると難しいことを実感します。
呼吸に意識を向けるコツは後ほど詳しく解説します。
「瞑想」との違いは、宗教的な要素を排除し、本当にただ呼吸するということだけに集中します。
宇宙の真理やこの世の無常さといった宗教的・鍛練的な要素を理解する目的で行うものではなく、修行のような特別な意識を持つ必要ありません。
景色に意識を向ける
景色に意識を向けるということも、五感を使って瞬間瞬間を生きる練習になります。
しかし、呼吸に意識を向けるのとは違い、目からの情報が多くあるので意識を集中させることは初心者の方にとっては難しいです。
作業に集中する
目の前の作業に集中するということは、スポーツでいうゾーンに入る状態と同じです。
完全にほかのことは考えず、ただ目の前にある業務や作業に集中し淡々とこなす。
余計な考えを持たずに集中することができる人向けです。
体を使う作業に向いている集中訓練であるので、何かアイデアを出したり、論理的に考える必要のある作業では難しいです。
呼吸への意識の向け方

上記の3つの意識を向ける先をご紹介しましたが、最も簡単で、最も効果のある呼吸への意識の向け方を改めて解説します。
呼吸に意識を向ける集中法はマインドフルネスと呼ばれ、「瞑想」という呼吸法から宗教的な要素を排除したものになります。
マインドフルネスとしての歴史は浅いものの、瞑想としての歴史は途方もないくらい長いので効果は抜群です。しかし、効果が表れるまでの時間がかかるので、継続して取り組む必要があります。
以下に呼吸法の集中の仕方のコツを書いていきます。
深呼吸をするときに「吸ってー、吐いてー」と言われますが、呼吸は吐くことから始めるとやりやすいです。
息を吐いているときに副交感神経が優位になり、緊張状態がほぐれ体がリラックスするためです。
吐くときも「長く息を吐こう」などと意識せず、ふーっと吐くのみで大丈夫です。
このときは呼吸のリズムを作ることよりもリラックスすることが大事です。
息を吐き終わったら、今度は息を吸います。
息を吐くときとは逆で、今度は交感神経が優位になり、体が硬くなりほんの少しだけ緊張することになります。
このときもできるだけ深く吸おうなどど考えず、普段の呼吸どおり吸っていれば大丈夫です。
息を吸い終わったら、少しずつでいいので「ゆっくり」「深く」を呼吸することを意識していきます。
このとき、息を吐く時間のほうが長いほうがリラックスできますが、できるだけ長く息を吐こうなどと意識する必要はありません。
余計な考えを手放して、呼吸に意識を向けることが重要です。いつもどおりの呼吸をしましょう。
STEP3の呼吸を繰り返していきます。
何も考えず、ただ呼吸する。そして呼吸している自分をただ感じることに徹底します。
ただ、呼吸というほとんど何もしていない状態では何かの考えが浮かんできます。
「あのとき言われたこと」、「今日のご飯何にしようかな」、「仕事溜まってるな」、「なんか飽きてきたな」など、とにかく考えが浮かんできます。
しかし、こうした考えから離れ、呼吸に集中することが重要です。
考えに集中している自分に気づき、呼吸に意識を戻していきます。
「おしゃべりに夢中だったがやるべきことを思い出した」ときの感覚に似ているかと思います。
考えが浮かんでいた自分に気づき、呼吸に戻ってきたらSTEP4に戻ります。
呼吸に集中していてもまた考えが浮かんでくるので、そのときはまた自分が考えにとらわれていることに気づき、呼吸に戻ります。
「なんとなく満足してリラックスできた」と感じたら、そのタイミングで終了しても大丈夫です。
呼吸に意識を向けるコツ
基本的な呼吸の仕方は上記のSTEPで紹介した通りですが、こうしたほうがいいというコツもいくつかあります。
〇秒吸って、吐いては意識しなくてよい
この時間だけ吸って、〇秒でたくさん吐こうなどど意識する必要はありません。ただただ呼吸に集中している状況を作りましょう。
深呼吸とは違う
呼吸を意識する際に型に忠実である必要はありませんが、一定のリズムで行うと体が楽です。
その際に、深く吐き切るなどと考えず、自然な呼吸を意識しましょう。
なんとなく吸って、吐いてができるようになったら、細長く呼吸することを意識しましょう。
何かの考えや思いが浮かんでも呼吸に戻る
おしゃべり夢中なことに気が付いた状況のように、思い浮かんだ考えに集中していたことに気が付いた際には呼吸に戻りましょう。
その際に、呼吸に集中できていない自分を責める必要は一切なく、自然と考えは浮かぶものなので仕方ないものだと認識しましょう。
メリット・デメリット

メリット
落ち着く時間が取れる
余計な考えにとらわれることなく、その時間だけはリラックスすることができます。
自分だけの特別な時間だと考えて、スマートフォンで余計な情報を見ることもなく、上質な時間の過ごし方をしていると実感しましょう。
現代社会で何もしない時間というのはなかなか取りづらいものです。睡眠と同じくらい重要な時間の使い方をしていると心得ましょう。
目の前のことを淡々とこなす練習になる
マインドフルネスを通じて、目の前のことを淡々と取り組む練習になります。
余計な考えが思い浮かび、「ゲームしたい」、「YouTubeやSNSを見たい」、「めんどくさい」といった感情や別の考えに引っ張られることなく自分の今すべきことを客観的にとらえられるようになります。
「自分が今しなければいけないことをこなす」という意識がついていきます。感情的にならず淡々とこなす姿勢が身についていくことになります。
呼吸を通じて自律神経が整う
呼吸の中で特に「息を吐く」ということは副交感神経の働きによって体がリラックスする状態になります。
もちろん一回の吐くではリラックスできませんが、何回も繰り返していく中で自然と心も落ち着いていきます。
できればマインドフルネスを5分から10分程度はできるようになると、緊張して不安を感じているときでも落ち着くことができるようになります。
デメリット
まとまった時間を必要とする
小刻みに、1分や2分程度でマインドフルネスをすることも可能ではありますが、体がリラックスするためにはそれなりの回数の呼吸(息を吐く)が必要になります。
なので、できれば5分以上は欲しいところです。
加えて、できれば集中できる環境が欲しいので、静かな場所か落ち着ける場所で行うほうがいいでしょう。
成長している実感がない
マインドフルネスの効果を実感するには時間がかかります。
これは脳の緊張しやすいという性質を少しずつ変化させて不安を感じにくくさせていくことになるので、回数をこなしていく必要があります。
できれば2週間は継続してやっていきたい、それも毎日取り組んでいく必要があります。
継続するコツ

2分などの短い時間でも行う
継続するためには、2分くらいの短い時間でも取り組んだ実績を作り上げましょう。
2分だったらその場でちょっとできますよね?
ふとした休憩の時間や、帰宅後のトイレで少し目を閉じて息を吐く、吸うを行えます。
大事なのは継続すること、回数をこなすことです。
できるだけ毎日取り組んでいるという状況をつくりましょう。
アプリを使用する
「どうしても一人でマインドフルネスをやっていると飽きてしまう」という方はガイド音声を使うという手もあります。
YouTubeの瞑想練習でもいいですし、最近では「Meditopia」というマインドフルネスのガイド音声アプリもあります。
一部無料コンテンツで基本的には有料ではありますが、どうしても続かない方は課金してやってみてもいいのではないでしょうか。
ただし、あくまでもガイド音声なので、音声に引っ張られてしまうこともあります。なんとなくマインドフルネスしたというよりはきちんとできた方が効果があるので、あくまでも補助的なものと考えてください。